はじめてのクラシックコンサート③
どうして演奏する時に頭を揺らすのですか?
ラオスカルテットの皆さんは、全部で17ヶ所で訪問コンサートを行いました。各訪問先では、カルテットによる演奏、楽器の説明、子ども達の楽器体験、演奏家への質問、訪問先の子ども達による出し物が1時間の中で行われました。お隣の学校にも声を掛け、溢れかえるほどの子ども達が集まってしまったところでは、2グループに分け、30分のコンサートを2回行うこともあったそうです。今日は、子ども達からの質問タイムのひとコマをお伝えします。
まずは、ヴィエンチャンの子ども教育開発センター(日本で言う児童館)の、男の子からの質問。
「どうして、演奏する時に頭を揺らすのですか?」
どこに行っても、子どもたちは演奏家が頭や体を揺らし楽器を弾く姿に、釘付けになったり、ものまねをしたりと、興味を示していたので、これはいい質問。
すると、みどりさん、「あなたはサッカーをしたことがありますか?」と質問した子どもに質問。
「サッカーボールを蹴るときにどうやって蹴りますか?
足だけ動かしますか?体全体を使いますよね?
ヴァイオリンを弾くのも同じです。動いているのは頭だけだったでしょうか?
肩や上半身も動いていましたよね。
楽器の演奏も、サッカーをするのと同じで、体全体を使って楽器を弾くので、頭や上半身も動くのですよ。」
私が同行した8ヶ所のコンサートで、我が図書館の子ども達が一番集中して演奏を聴いていたと思います。親バカなのを差し引いても、そうだったと思います(笑)。会場がこじんまりとしていて落ち着く空間だったのかもしれませんし、演奏家との距離がとりわけ近かったので、子ども達は演奏に引き込まれたのかもしれません。ベートヴェンの弦楽四重奏第5番では、突然のフォルテと一緒に前列の子どもは跳ね上がっていました。
そんな誇らしい我が図書館キッズの中からは、秀才キャラのラン君(3ヶ月で160冊の本を借りた中学生)が、なかなか良い質問をしました。
「どうして、(みなさんのグループには)ヴァイオリンは2本あるんですか?」
いい質問ですねぇ、とカルテットの皆さんが一瞬唸って、ヴィオラのヘレナさんが説明してくれました。
「演奏は楽器のおしゃべりのようなものです。
3人のおしゃべりよりも、4人のおしゃべりの方が、会話が弾んで楽しいので4人の構成になっているんですよ。
ヴァイオリン2本でおしゃべりをすることもあれば、チェロがこっちのヴァイオリンに話しかけ、ヴィオラがもうひとつのヴァイオリンに話しかけるおしゃべりのスタイルになることもあります。」
音楽家の皆さんは、どんな質問にもとても熱心に答え、クラシックのクの字も知らない子どもが聴衆でも、会場脇の調理場からドラム缶でご飯を炊く煙が舞って来ても、隣の家からカラオケが聴こえてきても、演奏に手を抜く様子などまったくなく、迫力に満ちた演奏を子ども達に届けていました。楽器体験では、いつも使用している超高級楽器(ヴァイオリンの弓だけでベンツより高価)を、さっきまで土いじりをしていたような手の子どもにも触れさせてしまうのですから、カルテットの皆さんの音楽教育への熱意と真摯さには胸を打たれます。
6月には東京と大阪でラオスツアーの報告コンサートを行うそうです。タイミング良くこの時期に日本に一時帰国していたいなぁ、、、。興味のある方は、ぜひ足を運んでみて下さい。(ラオス事務所 秋元波)
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