お膝元図書室の再生
最近、お昼休みにラオスのこども(ALC)図書館の常連客の姿を見かけません。図書館の貸出し作業をいつも手伝ってくれる6~7名ほどのボランティアの中学生は、図書館の目と鼻の先の距離にある中学高校の子ども達です。この中学高校にも当会が開設した図書室があります。2週間前に、活用状況を見に行ったのですが、悲しいことにに長いこと使われていない様子でした。本の貸出しは何年もしていない様子で、貸出しカードが貼られていない本ばかりです。貸出しを再開しようにも、その前の準備作業が必要です。そこで、我が図書館のボランティアたちに、まずは自分達の学校図書室の改善作業を命じたのです。そのため、子どもたちは、お昼休み、空き時間、放課後に、自分達の学校の図書室に通い、蔵書登録や、貸出しカードの貼り付けをやっているので我が図書館からは足が遠のいているのです。
日本の支援者のご支援を受け、当会では全国200校以上の学校に図書室を開設しました。一番古い図書室は、15年ほど前に開設されています。昨年度から、新しい図書室を開設すると同時に、過去に開設した図書室の巡回訪問を精力的に行っています。活動が停滞してしまっている学校にはそれぞれの学校の理由があります。
・図書室業務に関する指導を受けた先生が異動し、残っている先生は図書室の運営について理解していない。
・本の紛失を恐れ、貸出しを許可しない。
・生徒数が増えたので、図書室を教室にして、教員室の一角に図書コーナーを置いた。しかし、教員室には子どもたちは遠慮があり気軽に足を踏み入れられない、などなど。
2009年度には、過去に開設した図書室80ヶ所を訪問し、活用状況を確認し、それぞれの学校の課題解決に当たりました。中には、当所のスタッフ、教員、生徒達総出で雑巾がけをしなくてはいけない、ほこりまみれの図書室もありましたが、私の感触では先生にやる気がないから活動をしていないと言うよりも、やり方がわからないので放って置く他なかった、と言うケースが多かったように思います。現に、去年大掃除をした学校図書室の先生から、「私達の図書室見違えるようになったから見に来て欲しい」と電話でリクエストをもらうことがあります。
しかし、実に協力的なボランティアを我が図書館に送り出している目の前の学校の先生は、やり方がわからないだけではなく、図書室運営に関心がないように見受けられました。この学校の全校生徒は1,300人で、我が図書館に来ているのはそのほんの一部の子ども達です。もし学校内の図書室が開放されるようになれば利用する子ども達はいるはずです。
先生方は、「読書が好きな子なんてうちの学校にはいないわよ(先生は何も知らない、、、)」と言います。スタッフのスックパンサーも初めの内は熱心に先生に語りかけていましたが、反応があまりに悪いため、作戦変更。我が図書館のボランティアを中心に生徒に集まってもらい、図書室を甦らせるための作業について話し合いました。先生達は蚊帳の外。
「お昼休みにここで作業して、ALC図書館に行けなくなるやだー」
「えー、お昼ご飯は、ALCで食べたい」
「私はALC図書館を利用するからこの図書室が使えなくてもいい」などとわからず屋ながら、かわいいことを言ってくれます。
「この図書室はALCには置いていない本も何冊もあるんだよ。ALC図書館にもこの学校にない本がある。どっちも利用したら良いのだから、近くに図書館があるからと言ってこの図書室に価値がないわけではないんだよ」と説得します。
それ以降、お昼休みには当所からも毎日1人は出張し、子ども達と一緒に貸し出しカードの貼り付けなどの作業をしています。先生は1人も現れません。先生に図書室運営の必要性を感じてもらうには、生徒が図書室を使いたがっているということを知ってもらうことが必要でしょう。また、少々トップダウンなやり方ではありますが、ヴィエンチャン都教育局の読書推進担当職員に訪問してもらい、校長先生を含めた教員に図書活動の重要性について話をしてもらうことにもしました(私たちは非政府組織で、学校の監督機関ではないので、学校としては運営に関し当所の指示を聞かなくてはいけない立場ではない)。
ラオスの隅々まで回り図書室を新しく開設したり、活性化を行っているのに、目の前の学校図書室が開かずの間となっていたのでは、私達の顔も丸つぶれ。我らの味方、ボランティアキッズと、図書室を甦らせるために日々作業をしています。私も、彼女達の顔をしばらく見ないと調子が出ないので「会いに来たよ~」とたまに邪魔しに行っています。(ラオス事務所 秋元波)
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