« 2020年3月 | トップページ | 2020年5月 »

2020年4月22日 (水)

『おおきなかぶ』ができるまで

ヴィエンチャン事務所の渡邉です。
先月に完成したラオス語版『おおきなかぶ』印刷の舞台裏をご紹介します。

初めてのラオス語出版にあたり、もとの日本語版『おおきなかぶ』(福音館書店)に極力近づけることが求められました。そのため印刷製本には、普段の出版以上に、注意を払いました。
日本では、原稿を作成したらあとは印刷業者にお任せでも何とかなるのですが、ラオスは出版・印刷業界もまだまだ発展途上です。今回、ラオスの印刷業者さんと一緒に製作に奮闘したことで、現地の印刷事情を垣間見ることが出来ました。

紙選び、フォント選び、編集
制作にあたり、先ずは原本に近い紙を探したり、『おおきなかぶの』雰囲気にふさわしいラオス語フォント(字体)を選ぶところから始まりました。印刷業者さんには、スタッフのパンさん(出版担当)が掛け合って、使用する候補の紙で実際の製本をした束見本(写真)を製作してもらい、本のサイズや質感を確認しました。
78293725_2564799350417754_88119744111092
その後、福音館書店さんからお預かりした原画データを使用し、ラオス語版のデータを作成していきます。タイトルと本文のフォント、そして文字のサイズは、いくつかサンプルパターンを作り、ヴィエンチャン事務所東京事務所双方でどれが良いか吟味しました。
Font 
編集データがようやく完成し、印刷の版を作る前に、色調整されたモニター上で最終の色チェック。
84293554_2613608158885322_62095632916314

色校正・印刷
データが仕上がると、印刷のために4色の版を作っていきます。
92412660_250954586054520_729759931225341
そしていよいよ版をセットし、本機・本紙で出力します。
こちらのオフセット印刷機は日本製でした。
92519463_2867656936689377_14757748276073
出力した校正用紙。印刷機で色調整して数パターン出し、東京事務所や今回出版のサポートをして下さった高野さんの元に送付し、チェックしてもらいました。
20200422120127
原本のイラストの色味を極力再現するため、今回は普段ラオスではほとんど行わない「本機・本紙校正」(実際に印刷する機械と紙を使用した色校正)をして、色味が原本と離れているものは版の作り直しをし、再度出力して色の確認を行いました。
91943948_236402567547400_106925823033029
印刷機での最終色調整。いつもは、プレート全体でざっくり調整することが多いのですが、今回は上の写真にある作業台の緑のラインごとに細かな調整をしてもらうようお願いしました。青、赤、黄、黒色のインクの、どれを足してどれを引くか、縦のラインごとに決めていきます。
この作業、とっても根気と見極めを必要とするものなんですが、こちらの「色を使づけたい!」という想いにスタッフの皆さんが本当に頑張ってくれました。
92356154_531103394216789_240696380942503
どんどん刷りあがっていく『おおきなかぶ』。

製本
印刷が終わると、次は製本作業です。
92012171_2348530572111988_18571217096440
機械で折られた本文の束を、綴じる位置がズレないように揃えていきます。
91666706_1192870404232555_64227040888272

本文の束を中央のスタッフさんがミシンで糸綴じしていきます。奥の機械では、表紙と本文をプレスしています
92140226_1174008246263858_88640033743500

最後は、裁断。こちらも、ミリ単位で細かく設定し、ズレがないようにカットします。

91878710_168224074312066_547153880609403

おまけの一枚。私が印刷所で製本立会いをしたのは土曜日でした。この会社では毎週土曜日は、スタッフみんなで一緒にお昼ご飯を食べるんだそう。私も混ぜてもらいました。
作業員のおばちゃんたちと、おしゃべりしながら一緒にご飯を食べると、とっても距離が近くなれた気がしました。

こんなふうに、たくさんの人に支えられて完成した『おおきなかぶ』。
この絵本がラオスの子どもたちの元へ届く日が待ち遠しいです。
92844980_648867339247691_847452870049739

【ヴィエンチャン事務所:渡邉】

※ 『おおきなかぶ』出版に関する記事はコチラ

2020年4月15日 (水)

コロナウィルス、ラオスの状況 その③

ヴィエンチャン事務所の渡邉です。

ラオスでは現在、首相令により不要不急の外出は禁止です。ヴィエンチャン事務所のスタッフは4月19日まで在宅勤務ですが、スラピー所長と渡邉は、家からオフィスが近いこともあり、週に2回程度、事務所に立ち寄り安全確認等を行っています。
今回はそんな特別出勤時の一コマをお届けします。

ヴィエンチャン事務所の入口の門扉には、コロナのため事務所をお休みするお知らせを記した垂れ幕を貼っています。
92627875_893157494480168_231755146801971

いつもは、みんながいるオフィスも、ひっそりと静まりかえっています。子どもたちのはしゃぐ声が聞こえてくる図書館も、がら~んとしています。
何だか独りの事務所は寂しい・・・
各部屋の扉や窓に異常がないか確認して、ふと窓の外を見上げてみると―
Mango
見えますか?マンゴーが鈴なりになっているのが・・・

ヴィエンチャン事務所の裏庭には、マンゴーの木が沢山あり、今が旬なんです。去年は、スタッフと休憩時間のたびに食べたよなぁ~、冷蔵庫の中いっぱいになるまで採って、マンゴージャム作りのイベントも子ども達としたよなぁ~と、思い出して、今年もこんなにマンゴーが沢山なってるのに、みんなと一緒に食べられないなんて~(泣)と、しみじみしていると、Facebook Messengerのグループにスラピー所長から写真が届きました。(今、スタッフ達は毎日このMessengerグループで、健康状態や業務報告などの連絡を取り合うようにしています)

92184194_237917270733720_130085947986411
アレ?コレはうちの事務所の台所!? スラピー所長来てたの!

この日は用事があって、スラピー所長と会うことになっていたのですが、来ないなぁ・・・と思ったら、庭先でマンゴーを収穫していたようです(笑)。
昨日の晩が雨だったので、どっさり。そしてスラピー曰く、今年はマンゴー、例年にない豊作らしいです。

そしてお昼は・・・ラオスの定番料理、ラープ(細かくした肉をハーブと混ぜたもの)とカオニャオ(もち米)。
92894533_756451064887659_536863712346321

実は私、3月半ばに日本からラオスに戻ってきてから、2週間の自宅待機やその後はロックダウンで周辺の食堂は閉店になってしまい、まだ一度もちゃんとしたラオス料理を口にしていませんでした。日本に一時帰国していた時から、ラオス料理が恋しくなっていて、せっかくラオスに戻ってきたのに食べれないなんて~と思っていたところ、Messengerグループにスタッフが送ってくる「今日のごはん(ラオス料理)なう」の写真に悶絶・・・そんな状況を知ったスラピー所長が、家の近所の美味しい食堂で、アヒルのラープを買ってきてくれたのです。スラピー所長、ホントにありがとう~

帰りがけ、スラピー所長は今晩のおかず用に、庭に生えている草を採っていました。
私は雑草と食べられる草との区別がつかないのですが、うちのスタッフを含めラオスの人達は“この草はこうやって食べると美味しいよ~”というのを本当によく知っています。
日本人の場合だと、今回のコロナの影響で、スーパーから食料品がなくなったら大騒ぎになってしまうと思いますが、こういう時にラオス人は強いよな~逞しいよな~と思いました。
こんな感じで、スタッフも私もラオスで元気にやっております。

【ヴィエンチャン事務所:渡邉】

2020年4月 9日 (木)

ALC奨学金選考のようす

ヴィエンチャン事務所の渡邉です。
今回は「ALC奨学金」の選考の様子についてご報告します。
※ALC(Action with Lao Childrenは「ラオスのこども」の英語表記です

「ALC奨学金」は、当団体の新規事業で、マンスリーサポーターの方々の寄付金を、就学継続が困難なラオスの子ども達に奨学金として支給する試みです。対象校は、現在、図書館支援を実施しているヴィエンチャン県ポンホーン郡ポンサイ中等学校の4年生~7年生です。

昨年11月末に、同校の先生に向けて奨学金説明会を開催し、奨学金の目的や応募方法について説明しました。4年生~7年生の各クラスから5人ずつ候補者を出してもらうことになりました。
91739371_254157789087145_382105020644353
集まった応募者は64人。選考会議前日までに、ALCスタッフ一同で、応募のあった生徒の申請書類とクラス担任の先生からの情報シートを読み込み、家庭の困窮状況や、生徒の学習意欲や将来の夢、これまでのボランティア活動など、各項目にわたり審査をし、10人の候補者に絞りました。

そして、12月19日に実施された選考会議では、午前中にポンサイ中等学校の校長先生・副校長先生、父母会の会長とヴィエンチャン事務所長のスラピー、スタッフのバンロップと一緒に10人の候補者の応募書類の読み合わせをし、校長先生・副校長先生、父母会の会長から、それぞれの生徒の状況など情報を提供してもらいました。
92074299_230009624913695_377486251468940

次に、候補者10人の生徒1人ずつと面接。面接した多くの子たちが、家計を支えるため、仕事をしていました。鉄道建設現場で夜警、食器洗い、水売り、民族衣装のシン(スカート)織り、などなど、中・高校生ながら、彼らがそれぞれの家庭で重要な労働力になっているのがうかがえます。
91984969_240497080472135_711921902111896 
片親・両親を亡くしていたり、離れて暮らしたりしている子たちも多くいました。そんななか、「卒業したら農業をやりたい」「英語の勉強を続けたい」「車やバイクの修理工になりたい」「お医者さんになりたい、お母さんも応援してくれています」「軍人か公務員になって家族を助けたい」・・・と将来の夢を語ってくれた子どもたち。
この奨学金が、彼らの将来の可能性を少しでも広げる糧になってくれたらと願います。

面接後、選考会議参加メンバーで話し合い、最終的に5人の奨学生-ビー君(4年)、ブンフォム君(5年)、ソンビィアンさん(6年)、スリントン君(7年)、ミトゥナーさん(7年)に決定しました。

91905273_658787451600787_361885941977894
今回の選考会議で、大活躍だったのが、父母会のシーヌヴァン会長です(写真左、黄色のポロシャツの方)。面接をした生徒たちの家庭の事情を良く知っていて、私たちや校長・副校長に状況を説明してくれました。また、面接時に気になった生徒の家庭に支援が行き届いているかその子が住む村の名前を確認していたり、選考された奨学生の家庭に問題のある場合は、奨学金の管理を村の自治会や学校がするようにしてはどうかと提案してくれたりもしました。
91845257_230381598328943_704556928699937

奨学金のプロジェクトでも、図書館の支援事業でも、「学校」と「地域」とをつないでくれるシーヌヴァン父母会長のような存在は非常に重要です。

次年度は、同じくヴィエンチャン県のサカ中等学校とヒンフープ中等学校でも、ALC奨学金をスタートさせる予定です。

【ヴィエンチャン事務所:渡邉】

2020年4月 1日 (水)

“コロナウィルス、ラオスの状況” その②

ヴィエンチャン事務所の渡邉です。
ラオスでも、3月24日に国内でコロナ感染者が確認され、警戒が強まっています。
3月29日には首相令が発令され、4月1日から19日まで不要不急の外出は禁止となりました(食料を買いに行ったり、病院へ行ったりするのは可能)。事務所での勤務も基本禁止されています。警察や消防電力関係などの機関、また銀行、薬局、食料品店などライフラインに関わるところのみ実施継続を許可されています。
駐在の渡邉は日本からラオスへの帰国後14日間の自宅待機を経て、やっと3月30日から出勤出来る!スタッフのみんなに会える!と思っていたところ、今度はラオス全体で外出禁止になってしまいました。

ヴィエンチャン事務所のスタッフ達も、在宅勤務です。3月30日(月)は、スラピー所長から各スタッフに、在宅勤務期間中の健康管理報告や、仕事内容を説明し、みんな準備をして帰りました。

3月31日(火)に外に買い出しに出かけると、結構な数のお店が既に閉店していました。道路も平日の昼間なので普段ならもっと車やバイクが沢山走っているのが、かなり往来が少なくなっていました。

休日にほっこりしに行っていたお洒落カフェは、テイクアウトとデリバリーのみになっていました。
91212016_1657737274400600_30287899132742写真の右側に見えているピンクのパンダの看板は、去年あたりからヴィエンチャンで始まった料理のデリバリーサービスです。今ではカフェやレストランだけでなく、小さな食堂や屋台まで、数多くのお店が登録していています。コロナの影響で注文が殺到しているとか。まさか、こんなかたちで需要が高まるとは。。。

普段よく利用している八百屋さんは、店の周りを囲むようにテープが張られていて、立ち入りが出来ない格好に。
91195122_3733278500080210_60487001148080お客さんは、口頭で何が欲しいか伝え、それを八百屋のおばちゃんが取って袋につめ、前にあるザルの中に入れてくれます。そしてお客はお代をザルの中に・・・
私もお札をザルの中に入れると、おばちゃんはシュッシュとアルコールの消毒液をかけてからお札を受け取りました(果たして、効果があるのかどうかは不明。でもきっと消毒しなきゃと思っているのだろうな・・・と)。

トイレットペーパーなど日用品を買いに行っていた雑貨屋にも、同じくロープが張ってあり、店内立ち入り禁止になっていました。
91239874_611926486028131_122179477553178

ラオスは4月13~16日は「ラオス正月」の祝日にあたり、家族や親戚一同、知り合いや友達が集まって、連日宴会をしたり水かけをしたり、お祭り騒ぎになるのですが、今年はその最大イベントも自粛ということになり、さぞかしラオス人は残念だろうなぁと思います。

それでもコロナ感染のリスクを避けるためには必要なこと。ヴィエンチャン事務所のスタッフ達もこの危機を乗り越えるために頑張っていますので、日本の皆さまもどうぞ心身ともに体調管理にお気をつけて下さいね!

今後はこの機会を利用して、今まで溜まっていた昨年の活動報告なども、ブログやFacebookで発信できたらと思っています。

【ヴィエンチャン事務所:渡邉】

 

« 2020年3月 | トップページ | 2020年5月 »