『おおきなかぶ』ができるまで
ヴィエンチャン事務所の渡邉です。
先月に完成したラオス語版『おおきなかぶ』印刷の舞台裏をご紹介します。
初めてのラオス語出版にあたり、もとの日本語版『おおきなかぶ』(福音館書店)に極力近づけることが求められました。そのため印刷製本には、普段の出版以上に、注意を払いました。
日本では、原稿を作成したらあとは印刷業者にお任せでも何とかなるのですが、ラオスは出版・印刷業界もまだまだ発展途上です。今回、ラオスの印刷業者さんと一緒に製作に奮闘したことで、現地の印刷事情を垣間見ることが出来ました。
紙選び、フォント選び、編集
制作にあたり、先ずは原本に近い紙を探したり、『おおきなかぶの』雰囲気にふさわしいラオス語フォント(字体)を選ぶところから始まりました。印刷業者さんには、スタッフのパンさん(出版担当)が掛け合って、使用する候補の紙で実際の製本をした束見本(写真)を製作してもらい、本のサイズや質感を確認しました。
その後、福音館書店さんからお預かりした原画データを使用し、ラオス語版のデータを作成していきます。タイトルと本文のフォント、そして文字のサイズは、いくつかサンプルパターンを作り、ヴィエンチャン事務所東京事務所双方でどれが良いか吟味しました。
編集データがようやく完成し、印刷の版を作る前に、色調整されたモニター上で最終の色チェック。
色校正・印刷
データが仕上がると、印刷のために4色の版を作っていきます。
そしていよいよ版をセットし、本機・本紙で出力します。
こちらのオフセット印刷機は日本製でした。
出力した校正用紙。印刷機で色調整して数パターン出し、東京事務所や今回出版のサポートをして下さった高野さんの元に送付し、チェックしてもらいました。
原本のイラストの色味を極力再現するため、今回は普段ラオスではほとんど行わない「本機・本紙校正」(実際に印刷する機械と紙を使用した色校正)をして、色味が原本と離れているものは版の作り直しをし、再度出力して色の確認を行いました。
印刷機での最終色調整。いつもは、プレート全体でざっくり調整することが多いのですが、今回は上の写真にある作業台の緑のラインごとに細かな調整をしてもらうようお願いしました。青、赤、黄、黒色のインクの、どれを足してどれを引くか、縦のラインごとに決めていきます。
この作業、とっても根気と見極めを必要とするものなんですが、こちらの「色を使づけたい!」という想いにスタッフの皆さんが本当に頑張ってくれました。
どんどん刷りあがっていく『おおきなかぶ』。
製本
印刷が終わると、次は製本作業です。
機械で折られた本文の束を、綴じる位置がズレないように揃えていきます。
本文の束を中央のスタッフさんがミシンで糸綴じしていきます。奥の機械では、表紙と本文をプレスしています
最後は、裁断。こちらも、ミリ単位で細かく設定し、ズレがないようにカットします。
おまけの一枚。私が印刷所で製本立会いをしたのは土曜日でした。この会社では毎週土曜日は、スタッフみんなで一緒にお昼ご飯を食べるんだそう。私も混ぜてもらいました。
作業員のおばちゃんたちと、おしゃべりしながら一緒にご飯を食べると、とっても距離が近くなれた気がしました。
こんなふうに、たくさんの人に支えられて完成した『おおきなかぶ』。
この絵本がラオスの子どもたちの元へ届く日が待ち遠しいです。
【ヴィエンチャン事務所:渡邉】
※ 『おおきなかぶ』出版に関する記事はコチラ
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