« 2020年6月 | トップページ | 2021年4月 »

2021年1月20日 (水)

“ポンサイ中等学校 図書館応用研修”     その③ 応用研修の準備とふりかえり

ポンサイ中等学校で開催した図書館応用研修。そこで、実施した①授業における図書活用、②図書館サイン・図書館展示、に関する研修はラオス事務所スタッフにとっても新しい取り組みでした。

これまで、図書館の基本的な業務や、読書に親しむための本を使ったアクティビティに関しては、ラオス全土で当会が支援している学校図書室の開設やフォローアップで実施し、初めて本や図書館に触れるラオスの子どもたちに、読書に親しむ機会を提供してきました。
しかし、中等学校を対象とした場合、もう一歩進んだ図書館づくりが必要になります。そのために当会はどんなことをやっていけばよいか?図書館学専門家の下田先生と話し合いをするなかでみえてきたのが、①授業における図書活用と、②図書館サイン・図書館展示、を応用研修として実施することでした。

対象中等学校にこれらの研修を提供するためには、まず当会のラオス事務所スタッフたちに、この2つを理解し習得してもらうことが必要になります。
そこで、1年ちょっと前から準備を始めました。

Img_9874-re
2019年10月に下田先生にラオスにお越しいただき、スタッフ向けの実務研修を実施。図書の分類と配架、図書館展示について学びました。

Img_1980-re
2020年2月には、再び先生にお越しいただき、前回の実習の改善と、授業における図書活用に関するスタッフ研修を行いました。

その後、新型コロナウィルスが世界的に蔓延し、海外への渡航が厳しい状態に。2020年度に予定していた応用研修で、下田先生に現地の学校でレクチャーしてもらうことが難しくなりました。
なんとか良い打開策はないかということで、応用研修はオンライン併用にすることにしました。ただし、先生が現地に来られない分、当初よりも更にラオス事務所スタッフに動いてもらうことが多くなります。そのため、事前のスタッフ研修をより綿密に実施し、理解を深めることにしました。

Img_5898-re
まず、2020年10月に図書館サインと図書館展示のスタッフ研修を実施。2019年の実務研修のおさらいをするとともに、図書館サイン・展示について、種類や内容、その効果、実践するに際してのポイントなどを学びました。
Img_5899  
実習として、図書館サインは事務所併設図書館のサインリニューアル計画を作成しました。図書館展示は、テーマを設定して実際に展示を作ってみました。
Img_6413-re
男性スタッフチームの展示。教科書コーナーの傍に、中等学校の「技術」で学習する米作りの単元に関連した展示をしました。稲作方法に関する本、お米料理の本、民族ごとの米文化の本と、3つのテーマで展示を構成しています。
Img_6418-re
女性スタッフチームの展示。「!メニュー、カイ(卵)、カイ(卵)、カイ(卵)!」というキャッチ―なタイトルで、卵料理に関する展示をしました。全部で、6種類の卵料理を本で紹介し、いいな!と思うメニューに投票してもらうようになっています。

Img_6700-re
2019年の実務研修時に比べて、スタッフの展示構成・展示方法をみると、腕を上げているように感じました。

そして、11月は週2回のペースで、下田先生のオンラインレクチャーを交えながら、授業における図書活用についてみっちり研修しました。
Img_7865-re
実際の応用研修で紹介した「図書→教科のアイディアシート」や「授業における図書活用のアイディアシート」も、このスタッフ研修でスタッフに作成してもらいました。

125876633_696680827900586_43595361479029
授業における図書活用については、11月末、ポンサイ中等学校での研修の前に図書館担当の先生たちに「ヒアリング」を行い、普段の授業(教科指導)の状況や、授業での図書活用案を提案した際の反応などを確認し、応用研修に備えました。
128726175_192556969175723_16897255489933

12月に入ってスタッフたちは、レクチャー資料のラオス語チェックをしたり、研修スケジュールや役割分担を決めたり、研修で提示するアイディアシートを完成させたり、実習で自分が担当になったチームの教科の学習課程を調べたりなど、研修直前まで急ピッチで準備を重ねました。

Img_6803-re
迎えた当日、下田先生のこれまでの丁寧なご指導、優秀なラオス語・日本語通訳、スタッフの頑張りのおかげで、参加した先生たちは好反応でした。アンケートでは、研修について、全員の先生が「興味を持った」と回答し、授業での図書活用、図書館サイン・展示ともに、「実際にやってみたい」と答えてくれました。

研修後のミーティングで、スタッフからは、「先生たちが積極的に参加してくれて、興味を持ってくれてよかった」という安堵の声とともに、「自分たちもアイディアシートの書き方をもっと勉強する必要がある」という意見も出ました。
2021年度は事業の3年目、最終年次にあたり、ポンサイ中に引き続きサカ中・ヒンフープ中で応用研修を実施し、その成果発表の場として、各校地域住民対象の学校図書館オープンデーや3校合同の学校図書館研究大会(図書館サイン・展示コンテスト、授業における図書活用事例発表会)を開催する予定です。
今回の応用研修を通じて、ひとまわり成長したラオス事務所スタッフたち。今後は、実践を重ねていくなかでさらに成長し、学校図書館や先生や生徒たちの図書館活動をより深くサポートしていけるようにしていきたいです。 
【ラオス事務所:渡邉】

2021年1月16日 (土)

“ポンサイ中等学校 図書館応用研修”     その② 図書館サイン・図書館展示

ポンサイ中等学校図書館応用研修、その①授業での図書活用 につづき、その②図書館サイン・図書館展示 のご報告です。

3日間の応用研修の中(なか)日は、「図書館サイン・図書館展示」の研修を実施しました。図書館担当の先生5人と図書館ボランティアの生徒たちが参加してくれました。

午前中は「図書館サイン」について。サインとは案内や表示のことです。
レクチャーで、施設案内や利用案内、情報提供など図書館サインの種類や事例、サインを作る上での留意点などを紹介しました。
Img_2358-re

レクチャーのあとは実習。2チームに分かれてポンサイ中等学校図書館のサイン計画を作成してもらいました。図書館の見取り図を用意し、どの場所にどんなサインを設置したらよいか、書き込んでいってもらいました。
Img_2371
図書館中央の柱に歓迎の表示をつける、本棚に既にある図書分類の表示に分かりやすくするために更に色を使ったインデックスをつけるなど、各チームでたくさんのアイディアが出てきました。
Img_2391-re

午後からは「図書館展示」について。レクチャーでは、新着図書紹介や教科学習、学校活動に関連させた展示、季節やその他のテーマに絡めた展示など図書館展示の種類や事例、展示を作る上での、重要なポイントや効果的なテクニックなどを紹介しました。
Re

その後の実習では、「教科学習に関連した展示」、「テーマを設定した展示」の2チームに分かれ、実際に展示を作ってもらいました。
Img_6855-re

「教科学習に関連した展示」では、「地理」に関連して宇宙の天体に関する図書を集めた展示を披露してくれました。展示の空間づくりに天体がイメージできる地球儀を小道具に使ったり、POPを星形にしたり、ナイスアイディアです!
Img_2477

「テーマを設定した展示」では、「ミラクルの物語」をテーマに物語や伝承の絵本を取り上げていました。昔話や創作物語などアレもコレも沢山の本を紹介したい!という想いがつまった展示になっています。
Img_6862-re

想像以上に先生や生徒たちが楽しんでサイン計画・展示づくりに取り組んでくれました。こうやって、図書館を担当する先生や生徒たち自身で楽しみながら、工夫しながら図書館サインや展示を実践することが、利用者が快適に図書館を利用でき、新たな本との出会いも生まれ、来館者が増え、図書館が活性化することに繋がります。それはきっと、図書館担当の先生・生徒たちがさらに向上するモチベーションにもなるはず。そんな、持続可能なグッド・サイクルができるよう、スタッフのチャレンジも続きます。  
【ラオス事務所:渡邉】

2021年1月13日 (水)

"ポンサイ中等学校 図書館応用研修"     その① 授業における図書活用

サバイディーピーマイ。ラオス事務所駐在の渡邉です。
昨年12月に、外務省日本NGO連携無償資金協力「ビエンチャン県における中学校の図書館整備を通した読書推進事業」で行った「図書館応用研修」のご報告です。

事業初年次(2019年度)に、図書館を開設したポンサイ中等学校では、開設に合わせて図書登録や貸し出しなどの基礎的な業務、読み聞かせや紙芝居など図書を活用したアクティビティを学ぶ「図書館基礎研修」を実施しました。
2年目にあたる今年度は、もう一段上の図書館サービス・運営を目指しましょう~ということで、3日間にわたり「図書館応用研修」を開催し、①授業における図書活用(12/8,10)、②図書館サイン・図書館展示(12/9)について実施しました。

「授業における図書活用」研修では、図書館担当の先生と、国語や数学、歴史など各教科の代表の先生1名ずつ、あわせて16名の先生が参加しました。
Img_6804-re

1日目(12/8)は先ず図書館学の専門家、下田尊久先生より、「中等学校図書館の役割と機能」について、オンラインでレクチャーいただきました。当初は、実際に現地でレクチャーする予定でしたが、コロナ禍のためオンラインでの中継を試みました。
下田先生からは、学校図書館が、本を読む「読書」する場としての役割だけでなく、授業など学校の教育活動と繋げることで、「情報・学習」の場としての役割を果たせることを、日本の学校図書館政策などをもとに説明して下さり、授業で図書活用をするための手順や心得を解説していただきました。
Img_6801-re

その後、当会ラオス事務所スタッフが今回の研修に備えた事前研修で作成した、「図書→教科のアイディアシート」を披露しました。
これは、1冊の図書館の本をどんな教科学習に活用できるかというアイディアをシートにまとめたものです。図書館にある10冊の本についてシートを作成し、実物の本と一緒に展示しました。そのうち、『ガンパーとピーノーイ(孤児と小さいお化け)』は、国語・文学、生物、技術に、『私たちの村の料理』は地理、数学、化学、生活科の授業で活用するアイディアを紹介しました。
Img_6809-re
  

午後からは、「図書館オリエンテーション」と称して、ラオス事務所スタッフの発案で、グループに分かれて先生たちに図書館の本のことをより知ってもらうためのアクティビティをしました。
一つ目は、「ラオス語子音全部の頭文字のタイトルの本を集める」。ラオス語には27文字の子音があり、その子音で始まるタイトルの本を揃えます。
Img_6824-re

二つの目のアクティビティは、「読んだことがある本、授業で活用した本、これから活用したい本を選ぶ」です。
Img_6833-re

3つ本を各自で選んでもらった後、先生たちに披露してもらいました。これらのアクティビティをすることで先生たちは楽しみながら、図書館のどこにどんな本があるのか、理解を深めてくれたようです。

2日目(12/10)は、授業における図書活用の「実習」です。
最初にスタッフが事例紹介として、「国語」と「地理」の授業での図書活用の事例を、「授業における図書活用のアイディアシート」の記入方法を説明しながら、紹介しました。
__2-rere

「国語」は、5年生の「読み・書き」について、「地理」では、4年生の「ラオスの民族構成」の学習項目の図書活用について、学習の目的や先生の要望、それに即した具体的な図書活用の方法が書かれたアイディアシートを見せながら、事例紹介しました。
Img_2530-re

そしていよいよ実際に先生たちに授業での図書活用案を作ってもらう実習に。同じ系統の教科でA~D4つのチームに分かれて、チームの中で教科を1つ決めて活用案をアイディアシートにまとめてもらいました。
Img_2527-re

どの教科のどんな学習項目に、どの図書をどんなふうに図書を活用するか、議論する先生たち。教員指導書を参考にしたり、図書がある本棚のところに何度も行って授業にあった本を探してきたり、その本を具体的にどうやって授業に使うかチームで検討したり…どのチームの先生たちも積極的に実習に取組んでくれました。

最後に、チームごとに活用案を発表。Aチームは、「国語」1年生のラオス語アルファベットの学習で、Bチームは、6年生の「生物」で内臓の各器官を役割や機能を学ぶ項目での図書活用案を披露してくれました。
Img_2552
Cチームは、1年生の「数学」で単位や計測に関する学習で、Dチームは、5年生の「体育」で運動や健康に関する学習項目で、活用案を発表しました。
Img_2574-re

先生たちの発表を聴いていると、「生物」ではグループに分かれて内臓の器官をひとつ選び、それに関する本を図書館で探して、どんな働きがあるかを理解したり、「数学」では絵本のなかに登場するモノの長さや距離を測ってみたり、とグループごとに様々な工夫を凝らした活用方法を考えてくれていました。こうしたことが出来るのも、教科書だけで授業をやるのではなく、図書を活用した授業ならではのメリットだと思います。生徒たちが、楽しみながら図書館の本を探したり使ったりする授業を行うことで、より学びを深めることができ、このような学習をくり返すことで、生徒が自分自身で図書館を利用して物事を調べたり、情報を収集・分析する習慣が身についていくことにつながります。

Ggul3163-re
修了式では、修了証書と下田先生も一緒にみんなで記念撮影。
研修に同席した県教育局・郡教育局からは、「今後ぜひ授業で実践していきましょう」という力強いコメントがありました。

【ラオス事務所:渡邉】

« 2020年6月 | トップページ | 2021年4月 »