"ポンサイ中等学校 図書館応用研修" その① 授業における図書活用
サバイディーピーマイ。ラオス事務所駐在の渡邉です。
昨年12月に、外務省日本NGO連携無償資金協力「ビエンチャン県における中学校の図書館整備を通した読書推進事業」で行った「図書館応用研修」のご報告です。
事業初年次(2019年度)に、図書館を開設したポンサイ中等学校では、開設に合わせて図書登録や貸し出しなどの基礎的な業務、読み聞かせや紙芝居など図書を活用したアクティビティを学ぶ「図書館基礎研修」を実施しました。
2年目にあたる今年度は、もう一段上の図書館サービス・運営を目指しましょう~ということで、3日間にわたり「図書館応用研修」を開催し、①授業における図書活用(12/8,10)、②図書館サイン・図書館展示(12/9)について実施しました。
「授業における図書活用」研修では、図書館担当の先生と、国語や数学、歴史など各教科の代表の先生1名ずつ、あわせて16名の先生が参加しました。
1日目(12/8)は先ず図書館学の専門家、下田尊久先生より、「中等学校図書館の役割と機能」について、オンラインでレクチャーいただきました。当初は、実際に現地でレクチャーする予定でしたが、コロナ禍のためオンラインでの中継を試みました。
下田先生からは、学校図書館が、本を読む「読書」する場としての役割だけでなく、授業など学校の教育活動と繋げることで、「情報・学習」の場としての役割を果たせることを、日本の学校図書館政策などをもとに説明して下さり、授業で図書活用をするための手順や心得を解説していただきました。
その後、当会ラオス事務所スタッフが今回の研修に備えた事前研修で作成した、「図書→教科のアイディアシート」を披露しました。
これは、1冊の図書館の本をどんな教科学習に活用できるかというアイディアをシートにまとめたものです。図書館にある10冊の本についてシートを作成し、実物の本と一緒に展示しました。そのうち、『ガンパーとピーノーイ(孤児と小さいお化け)』は、国語・文学、生物、技術に、『私たちの村の料理』は地理、数学、化学、生活科の授業で活用するアイディアを紹介しました。
午後からは、「図書館オリエンテーション」と称して、ラオス事務所スタッフの発案で、グループに分かれて先生たちに図書館の本のことをより知ってもらうためのアクティビティをしました。
一つ目は、「ラオス語子音全部の頭文字のタイトルの本を集める」。ラオス語には27文字の子音があり、その子音で始まるタイトルの本を揃えます。
二つの目のアクティビティは、「読んだことがある本、授業で活用した本、これから活用したい本を選ぶ」です。
3つ本を各自で選んでもらった後、先生たちに披露してもらいました。これらのアクティビティをすることで先生たちは楽しみながら、図書館のどこにどんな本があるのか、理解を深めてくれたようです。
2日目(12/10)は、授業における図書活用の「実習」です。
最初にスタッフが事例紹介として、「国語」と「地理」の授業での図書活用の事例を、「授業における図書活用のアイディアシート」の記入方法を説明しながら、紹介しました。
「国語」は、5年生の「読み・書き」について、「地理」では、4年生の「ラオスの民族構成」の学習項目の図書活用について、学習の目的や先生の要望、それに即した具体的な図書活用の方法が書かれたアイディアシートを見せながら、事例紹介しました。
そしていよいよ実際に先生たちに授業での図書活用案を作ってもらう実習に。同じ系統の教科でA~D4つのチームに分かれて、チームの中で教科を1つ決めて活用案をアイディアシートにまとめてもらいました。
どの教科のどんな学習項目に、どの図書をどんなふうに図書を活用するか、議論する先生たち。教員指導書を参考にしたり、図書がある本棚のところに何度も行って授業にあった本を探してきたり、その本を具体的にどうやって授業に使うかチームで検討したり…どのチームの先生たちも積極的に実習に取組んでくれました。
最後に、チームごとに活用案を発表。Aチームは、「国語」1年生のラオス語アルファベットの学習で、Bチームは、6年生の「生物」で内臓の各器官を役割や機能を学ぶ項目での図書活用案を披露してくれました。
Cチームは、1年生の「数学」で単位や計測に関する学習で、Dチームは、5年生の「体育」で運動や健康に関する学習項目で、活用案を発表しました。
先生たちの発表を聴いていると、「生物」ではグループに分かれて内臓の器官をひとつ選び、それに関する本を図書館で探して、どんな働きがあるかを理解したり、「数学」では絵本のなかに登場するモノの長さや距離を測ってみたり、とグループごとに様々な工夫を凝らした活用方法を考えてくれていました。こうしたことが出来るのも、教科書だけで授業をやるのではなく、図書を活用した授業ならではのメリットだと思います。生徒たちが、楽しみながら図書館の本を探したり使ったりする授業を行うことで、より学びを深めることができ、このような学習をくり返すことで、生徒が自分自身で図書館を利用して物事を調べたり、情報を収集・分析する習慣が身についていくことにつながります。
修了式では、修了証書と下田先生も一緒にみんなで記念撮影。
研修に同席した県教育局・郡教育局からは、「今後ぜひ授業で実践していきましょう」という力強いコメントがありました。
【ラオス事務所:渡邉】
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